Q. お客さまからどうしたらいいですか、ときかれたらアドバイスをしたらいいんだろうな、と思うのですが、アドバイスをするべきじゃない、という意見もあって混乱します。
本来はどっちなんでしょうか?
なぜ「アドバイスをするべきではない」のか?
占いに来るお客さまはたいていの場合、何をしたらいいかわからない、またはいろいろやったけれどうまくいかない、そういったところから占いにきいてみよう、というお気持ちになるようです。
そうなると「こうした方がいいよ」という具体的なことを教えてあげればよさそうではないか、と思うのですが、業界的には「占い師はアドバイスをするべきではない」という意見もあります。
なぜなのでしょうか。
一番大きな理由としては「占い師の主観によるところが大きいから」なのだそうです。
そうなると若い占い師さんより年配の占い師さんの方が「○○するのがよい」といった場合、お客さまも信じやすい可能性があり、もしそれがかなりかたよった見方であったり、お客さまに忖度するような意見であったりすると、結局完全解決にはつながらないのではないか、と予測できます。
現状の占い業界では「本当の答えは自分の中にある」ということで、占い師の役割としては「そこに気づかせることこそ重要」という流れになってきています。
そうなると、完全に相談者に寄せてうんうんと同調したり共感したり、今のままでいいよと言うだけでは不十分ということになるのではないでしょうか。
占い師は中立的な立場で鑑定する、という考えの方もいらっしゃり、過去記事でもご紹介しています。
占いは中立の立場で! 毎日さまざまな相談が寄せられる占い師の立場で、中庸(ちゅうよう)であることが望ましいと業界では言われています。中庸とは偏らず、中立的であるということ。これがいい、とか悪い、とか決めるのではなく、いろいろな考えを[…]
アドバイスの代わりに「対策」について述べる占い師もいますが、まだ対策の方がそれをきいて「じゃあこんなふうにやってみようかな」と考える余地をお客さまに与えることができ、いくぶんマシといえます。
しかしあくまで占い師というのは「占いの専門職」でしかないわけで、上から目線でアドバイスするのは何か違う気もいたしますね。
ではアドバイスって何?
さてそもそもアドバイスとは何でしょう?
ある意見(正しいと思えるもの)を出してきて、こうしたらいいのでは、と助言することですよね。
しかし業界の方にうかがうと、あくまでアドバイスがカチッとハマッてくるのは、相手の目指す方向とアドバイスが示す先が一致している時だけだ、というのです。
たとえばピアノで生計を立てたい、と考える人がいたとしますと、音大のピアノ科の先輩や、ピアノ教室の先生などから「こういう勉強を続けていくといいよ」と言われたなら、役に立つところが多分にあるでしょう。
しかし占いの相談に限って考えたらどうでしょうか。
ある人は恋愛を、ある人は転職を、またある人は人生を、どうしたらいいものかと悩む、それは非常に「人による」部分が大きいところです。
ピアノを毎日何時間と弾き練習していけば、音大には受かるかもしれませんが、恋愛は何百人としようが全敗になることもある、ということを考えたらイメージしやすいかもしれません。
もっと問題になるのが、相談にきた方自身が親や友達など、まわりの意見に流されて「自分」というものをしっかり持っていない、あるいは過去に痛い目にあって任意の物事をマイナスイメージで見ている、というようなケース。
こういう場合、ありきたりのアドバイスをしたところで響かないことも多いといえます。
つまりどこに転ぶのかはその人しだいであって、そういう人に「あるひとつの意見」をアドバイスとして提示したところで、結局のところ占い師の主観を押しつけるような形になりがちだ、ということなのです。
昔は「占い師の言うなり」だった時も…
昭和の頃の占いは「○○しないとあなたは不幸になる」というようなものが多かったために、占い師の言う通りにしよう、と「人まかせ」なままの方がまだ多いようです。
それに乗っかってああしなさい、こうしなさいと言ったところで「言う通りにしたけど何も変わらないじゃないか」「この人の占いは当たらない」などと言われてしまうだけになってしまうでしょう。
つまりお客さまからしたら占い師の意見に乗っているだけで、自分からは何もしないままになる、ということです。
これでは変わりませんよね。
まずはしっかり「お客さまの話をきく」
まずはお客さまの話をしっかりときくこと。
そして「なぜこの人はこういう表現を使ってこの話をしているのか」「どうしてこういう言い回しを繰り返し使うのか」といったところから、お客さまの心の中の闇がチラチラしてくることでしょう。
その時カードを展開すると、その無意識に出てくる「言葉のクセ」に直結するものが出てくることもあります。
占い師としてまずはそのカードがどういうカードであるのかを語りましょう。
「このカードはこれこれこういう世界を表しているものなんですよ」
そこからこんなことがほのめかされているよ、というところにお客さまが気づいたらしめたものです。
占い師を信用して、今まで隠していたことを話してくれるかもしれません。
ヘンなアドバイスより、お客さまの「悩みの根っこ」を取り出す方が今後のためには大切です。
頭のスミの方に入れておいてくださいね。