いったいなぜここにある!? タロットを買うと入っているアレの正体とは

Q. タロットを買うとメーカーの宣伝と思われるカードや、タイトルカードのようなものが入っていますが、なぜかバラバラに入っています。
どうしてまとめて入っていないのでしょうか?

宣伝ならまとめてすればよさそうですが…

確かに新しいタロットを開封してみると、タロットの外箱の表面をそのままカードにしたような「タイトルカード」や、メーカーや作者の説明とおぼしき「宣伝のようなカード」が入っています。
しかしなぜかカードの最初と最後に入っている形になっていますね。
そのため人によっては、

◯すぐカードを使いたいのに、いちいちこれをはずしてからカードが全部そろっているかチェックしないといけないのでジャマ

◯むしろ入れないでもらいたい、どうせ見ることはないから

◯最後の方にまとめて入れてもらえばいいのに…

というようなイメージを持っているようです。
使うことがないカードがなぜこんな風に入っているのでしょう?

しかもルノルマンカードなどの他のカード類では、こういったことがほとんどないようです。
タロットだけに特有と思われる、この「一見するといらないカード」の正体は何なのでしょうか。

さらに不思議なカードがあった!

Kickstarterで大変話題を集めていた「Weird World Tarot」には、さらに不思議なカードが含まれていることがわかりました。
箱を開けるとなぜか裏向きにカードが入っているのです。
海外もののカードでは、順番通りに入っていないことも普通にあるため、最初は裏返しに入っているのだろうと思っていたのですが、ひっくり返してみると裏表まったく同じになっているカードが一番上になっていました。
そのカードをはずすとタロットが出てきますが、予想通り順番が少しおかしくなっています。
並べ直しながら78枚あるか確認すると、またも裏表同じカードが出てきました。

初版のカードではミスプリントなどがあることもよくあるため、作者にこれは何ですかと問い合わせをしてみました。

「通常タロットにはブランク・カード(空白のカード)を使います。
しかしこの出版社では、タロットデッキには伝統的にダブル・バック・カード(裏表同じ柄のカード)を加えています。
トランプのコレクターでしたら、アメリカのいくつかの会社(Crown社など)が、54枚のトランプに裏表のカードを加えているとご存知かもしれませんね」

どうやら裏表同じ柄のカードは意図的に入っていることがわかりました。
またブランク・カードと言われるものの、現在日本でブランク・カードが含まれているものはないため、どうもピンときません。
ブランクというくらいですので、カードが紛失したり破損したりする時に使われるものではないか、と想像できますが、実際今回は両面に柄が入ってしまって使いようがありませんよね。
さてどうしたものか、とさらにおたずねしてみたところ、

「78枚のカードだけを使用し、追加のカードをデッキから削除することができます。

あなたのデッキに破損したカードがないことを祈ります」

というお返事をいただきました。
どうやらタロットに問題がなければ使わないものとなりそうです。
しかしながらKickstarterの画面には「2 EMPTY CARDS」の表記があるものの、実際は柄のついたものが入っていたため、人によっては混乱したかもしれませんね。

結局ブランク・カードとは…?

さらに調査していくと、興味深い話を業界の先輩が教えてくださいました。

「ブランク・カード、タロットによくあったアレですね。
オラクルカードにもついていたりするんですよ。
ブランク、ですから本来は何も書いていない白紙のカードのことを指します。
ですがご存知のように、最近ブランクのカードって入っていませんよね?
たいていメーカーさんの会社の情報だとか、ものによってはカードの意味が書いたカードが入っていたりするかもしれません。

このブランク・カードはもちろん破損してしまった時の代わりとして使ったりすることもできますけど、実はもっと変わった使い方があるんです。
たとえばその手持ちのカードを見て『こんなニュアンスのカードがあったらなあ』って感じたことありません?
そういう時にブランクカードを使って、新たにカードを作って加えていたんですよ。
昔はそういうことを各占い師が必要に応じてやっていたんです。
タロットを勝手にいじったらダメだろうって?
いや、そんなことはないんです。
だってもともとは大昔に作られたものじゃないですか。
現代まで何百年とたっているのだから、そのくらいのアップデートをしたってどうってことはありません。
占いって自由度が高くてかまわないんです。

あともうひとつ大切な役割があります。
それはね、『魔封じ』。
要するに封印ですよ。
占いのカードってやっぱり魔力があるって考えられているものなんです。
だから使う時にはいいんだけれど、使っていない時まで魔力ダダ漏れってわけにいかないので、ブランク・カードで封印するってわけ。

今はブランク・カードでなくタイトルのカードだったり、メーカーの宣伝のカードだったりするかもしれないけど、それがブランク・カードと同じようにタロットの最初と最後に配置されているはず。
確認してみてください。
これが魔封じの状態なんですよ。
だからふだん占いのカードを保存する時には、必ずこの2枚のカードでデッキ全体をサンドイッチするような配置にするように意識してみて」

大変わかりやすい説明をいただき恐縮しております。
みなさんの手持ちのカードはいかがですか?
「魔封じモード」になっていない方は、今すぐにでもカードの配置を変更しましょう。
どうやら占いをする時だけ、カードたちが不思議な力を最大限発揮することができるよう、占い師側が意識しなければいけないようですね。