いろいろな方に話をきいてみると、子供の頃保健室のお世話になったという方が、男女ともにけっこういらっしゃいます。
体育の時間の後に具合が悪くなってしまったとか、受験が近くなるとお腹が痛くなってしまった、何となく授業受けたくなくてつい足が向いた、など、お世話になった理由も多岐に渡っています。
ではなぜ保健室なのでしょう。
保健室の先生は具合が悪いのをケアするだけではなく…
もちろん保健室にはベッドがあります。
当然ですが薬もあります。
何かあればケアしてもらえるだけのものが存在します。
しかしそれだけではなく、保健室の先生と一対一で話すチャンスがあり、自分の話をちゃんときいてもらえる場所であった、というところが大きいのではないでしょうか。
とりわけ小・中・高とだんだん多感な年頃になっていく中で、すでにいじめの問題などで孤立している子や、家庭環境がよくなく、家では自分の居場所がない子なども出始めてきます。
また親以外の「身近な大人のひとり」でもある担任教師と衝突ばかりしてしまう子もいます。
しかし彼らはどうしてぶつかってしまうのか、どうしてうまくいかないのか、そんなことはわかりません。
学校では教えてくれないからです。
保健室の先生は他の先生より話しやすい!?
それでもどういうわけか保健室の先生というのは、生徒に接する時に話を引き出すのがお上手な方が多い印象です。
顔色や声のトーンなどから、何かがあると察するのでしょうか?
特に何も言っていなくても、なぜか保健室の先生はすぐに気づいてくれた、という方がけっこういらっしゃいました。
人は何かきっかけがあれば、言いにくいことでも話せそうな気になります。
そしてこの人になら話してもいいだろう、と思うと安心して話し始めることができます。
保健室の先生になるためには、こういうこともカリキュラムとして学んでいるのだろうか? と思うほどに、生徒たちから話を引き出すのがうまい、と感じます。
保健室の先生は受け止めもうまい!
これも多くの意見を集めた内容ですが、保健室の先生は引き出すだけではなく受け止めることもうまい、ということ。
「もう十分がんばっているじゃない」
「そのままでいいと思うよ」
と、どんなことを言われてもしっかり受け止めてくれ、また相手を責めたりすることもありません。
要するに優劣をつけることがないのです。
どちらがよくてどちらが悪いといった判定をしないのです。
悩みを話す子たちに寄り添いながらしっかり話をきいてくれます。
せわしない現代社会がそもそも問題!?
いつの頃からか、日本はみんなにいろいろと「強いる」ことが増えたように思えます。
いい学校に入るためにがんばる、いい職場に入るためにがんばる、というような教えを、家からも学校からもされた記憶があるのではないでしょうか?
しかし誰もがそれにこたえられるわけではありません。
そのために自分はついていけないとか、それは違うんじゃないの、と思っても言える環境ではない、言っても仕方がないから言わない、こんな流れでどんどん自分の中にネガティブなモヤモヤ感を溜めていってしまいがちです。
ですが本当はつらい、しんどい、助けてほしい、と声を大にして言うべきなのです。
言わなければ誰も気づいてくれません。
またわかっているけど言えない人もいます。
こんなこと言ったら笑われる、バカにされると思い自分の中に押し込めてしまう、それでも言った方がよいのです。
がんばることは大切なことですが、人間は機械ではありません。
機械ですらオーバーヒートされば故障するのです。
人間も無理がたたればこわれてしまいます。
占い師に必要なのは保健室の先生のような安心感
先ほどのように居場所がないような子たちに、ただがんばれがんばれというばかりでは無理がかかります。
自分を受けいれてくれる、認めてくれる、わかってもらえる、そういうバックボーンがあるからこそ安心して粉骨砕身できるのではないですか。
占い師も同じです。
お客さまにとっての保健室の先生のような存在。
「なぜか何でも話してしまう、不倫しているのに」
「こんなことで悩んでいたのがバカみたい。もっと早く話してしまえばよかった」
そこにあるのは安心感です。
この先生は自分を見捨てない、自分の話をきちんときいた上でアドバイスをくれる、だからこそお客さまも自分の悩みを出し切ることができ、最終的にすっきりした気持ちになれます。
これが話もろくにきかず、いきなりカードを切るような占い師だったら、とたんに不安になるのではないでしょうか。
うまくいえないお客さまには、話題をふって吐き出してもらおう
中には自分の悩みをうまく表現できないお客さまもいらっしゃいます。
そこにうまく切り込んで話を引き出し、本当は何をききたいのかを表面化させていきましょう。
自分の悩みを時系列で話せる人よりも、悩みを言えない、表現できない人の方が深刻なのです。
対占い師であっても自分の本音が出せない、これでは当然親しい人にも出せませんし、出すところがありません。
どんどん病んでいくばかりです。
悩みなんてない人を演じている可能性もあります。
でもそんな仮面をかぶった自分など、いつまでも続けられるわけがありません。
どんどんお客さまにつらい、苦しいと思っていることを吐き出させてください。
そしてそれを責めることなく受け入れましょう。
自分が育ってきた時と違うな、と感じても受け入れるのです。
占い師を信じて告白してくれたお客さまです。
こっちも本気で保健室の先生のようにあたたかく包んでさしあげようではありませんか。