「自分のことがキライ症候群」を考える~何が原因になり得るのか~

Q. お客さまからよく自分のことがキライでどうしようもないという相談を受けます。
そして私も実は自分のことが好きじゃありません。
よく自分を愛する、ということをききますが、どうも腑に落ちなくて悩んでいます…

自分が好きになれない、という悩みが増加中

まわりからあれこれ言われ、自分はどうして生きているんだろう自分のことがキライ、などネガティブな気持ちになる方が少なからずおられます。
なぜ自分のことが好きになれない、肯定的にとらえられない、ということが起こるのでしょうか?

先のご相談のように、占い師側も自分が好きになれず悩んでいる、というケースもありますから、これから占い関連の求人に応募を考えている方は、自分のことを好きでいられているのか、今一度考えてみてください。
自分のことが好きではないというお客さまに当たった時、私も同じとシンパシーを感じて鑑定に結びつけるやり方もあるでしょう。

なぜ好き嫌いが生まれる?

いわゆる「好き嫌い」というものは、成長していく過程で自然にできてきます
たとえば酢っぱいものがあまり好きでない親御さんがいる家では酢の物などが食卓に並びませんから、酸っぱいものが苦手、キライだと感じる方が多くなるのだそう。
しかしこの場合「酸っぱいものもなかなかウマイ」ということを経験上知ることで解消されるのです。

「牡蠣は生臭くてどうも苦手」という方が、たまたま海から帰ったばかりの漁師さんより、とれたての牡蠣をその場でいただいたら、そのおいしさに感動して、シーズンにはもう牡蠣を食べずにはいられなくなった、というのも、イヤな感情が打ち消されて「好き」というポジティブなものに変化した好例です。
問題になるのは、そういったポジティブなものにならない、いわば「負の感情」のようなものがずっと残ってしまうケースです。

パブロフの犬効果ではありませんが、キライなものを見るとイヤなことが思い出される、という方がいます。
トラウマのようなものかもしれません。
記憶の中ではあいまいになっているのかもしれませんが、潜在意識にすりこまれた「イヤな感情」が、その後も影響し続けることがあるのです。
「何だかよくわからないけど」「特に理由はないんだけど」というような枕詞がついて「これがイヤ」という方はこのパターンの可能性があります。
無意識のうちに避けてしまう、というわけですね。

善悪をジャッジする「ものさし」の存在

自分の中の「ものさし」で善悪を決めることは、少なからず誰にでもあります。
この「ものさし」は一般的に、常識とか固定観念などと言われたりするものです。
その「ものさし」に合致しない、あるいは極度にレベルが離れている場合、違和感につながることがあります。
そしてこの「ものさし」ですが、成長過程や地域、時代などに応じて変化しますから、誰に対しても一貫して同じものであるわけではありません
ですのでまわりから常識はずれである、と思われていても、自分のエリア内ではそうでない場合もありますし、また逆のパターンもあり得るのです。

たとえば「清潔感」という面で考えた時、多くの人はきちんと手を洗い、毎日洗濯した服を着るということをベースに考えるかもしれません。
しかしある人は一度着た服を衣類用のスプレーできちんとシワを伸ばし、整えるだけで清潔と感じるかもしれませんし、常に除菌ジェルを持ち歩かないのは清潔とはいえない、と考える方もいるかもしれないでしょう。

このように「ものさし」の幅は各人によってかなり違いがあるのですが、自分の「ものさし」に引っかかると、人は違和感をおぼえたりイラッとしたりします
無意識のうちに自分の「ものさし」がルールになっていて、それに引っかかるかそうでないかで好き嫌いの判断基準ができあがるのです。

これが固定観念、ひいては思い込みにつながってしまうと、それに引っかからないものを受け入れることができなくなります。
そしてここに沿って生きるような形になるため、それとは違う新しいルールを突きつけられても受け入れることができず、受け入れられない自分に対して「ダメなヤツだ」と感じてしまうかもしれません。
そんなことが何度も続くと「まわりに合わせることができない自分はダメなヤツ」になり「ルールを守れない自分は最低」となって自分をキライになってしまうのです。

真面目な人ほど苦しみやすい!?

また生真面目な人ほど、なかなか柔軟にものが考えられない傾向があるようです。
これまで自分がよしと思って信じていたものを、全否定されるような気持ちになるのかもしれませんね。

自分が約束を守れなかったことで、誰かに迷惑をかけた、傷つけることになってしまった、やっぱり自分はダメなヤツだと自己否定する気持ちになったり、おまえのせいじゃないかと責め立てられて何も言い返すことができなかった、というようなつらい体験をしたりするのも、自己嫌悪につながっていき自分を好きになれなくなるのだそうです。

中には何か悪いことが起きると全部自分のせいだ、と感じる方もいます。
それも先ほどのようにこれまでの自分を全否定することにつながるのです。
物事にはいろんな原因と経過、そして結果があるわけですが、自分だけがすべての原因であることはあり得ません。
他の要因が関係していることも大いにあるでしょう。
「自分のせい」として受け止めることが続くと「人に迷惑をかけ続けている自分はキライ」になってしまい、過去の具体的な内容はあいまいになってしまっても「自分は最低なヤツ」「自分はキライ」「生きている価値のない人間」というような思いだけが深く心の中にとどまりつづけてしまうのだといいます。

次回はどうすればこの状態から改善することができるかについてご紹介していきます。