Q. 先日フリマアプリで新品のタロットカードを買ったら、何かサイズ感がおかしいのです。
調べてみるとどうやら海賊版だったようで…
引っかからないためにはどうしたらよいですか?
占い業界の深刻な問題になりつつある「海賊版」
カードを取り扱う大手の会社さんや、業界の一部の方を中心にtwitterなどで拡散されているのがカードの海賊版問題です。
タロットカードやオラクルカードを中心に、ネットオークションやフリマアプリ、海外の販売サイトなどで購入したものが海賊版であった、という事例が頻発しているのです。
日本で購入すると3000円前後のものが、どうやら中国などでは数百円で購入できてしまうよう。
そのため、日本のサイトで品切れや絶版になっているからと、海外サイトで海賊版を購入してしまった、という例もあるのだとききます。
可能であるなら、大手の書店(特に占い関連で有名な神保町の原書房・書泉グランデや十条の鴨書店などがおすすめ)で直接手にとって購入したいところですが、地理的な問題もありなかなか難しいところもあるかもしれません。
ネットサイトでも、ヴィジョナリー・カンパニー社のように良心的なところもあるのですが、残念なことに楽天やアマゾンという大手でも海賊版が発見されています。
特にフリマアプリで大量に発見されている!
さてこの「数百円」の海賊版ですが、実情フリマアプリなどにはかなり流通しているようです。
中には海外のカード作家さん(インディーズ)から直接仕入れて出品しているものもあるのですが、それは目玉が飛び出るほど高価になっています。
送料と関税の関係だそうです(中には関税がかからないケースもあるようですが、だとしてもかなり高額)。
したがって極端に値段が安いものは気をつけた方がよいかもしれませんね。
特にフリマアプリにおいては、こういったもともと数百円の海賊版を大量仕入れし、かなり利益を上乗せするいわゆる「転売ヤー」と言われる人たちが少なからず存在しています。
まじめな自費出版や、よくある並行輸入品(メーカーの日本支社や、販売契約がある正規代理店を通じて入ってきている)の場合には問題ありませんが、どうもいわゆる海賊版の場合、低コストで大量に売ることを前提にしているので、いろいろなところにコストダウンのしわ寄せがきているようなのです。
具体的には紙質や印刷の色味、箱の形状、カードサイズなどがだいぶ違うとのこと。
要するにかなりの粗悪品であることがうかがえるのです。
それに利益を上乗せする、というのですからひどい話です。
海賊版の特徴とは
では海賊版にはどんな特徴があるのでしょうか。
一番わかりやすいものは箱のどこかにQRコードがあるというところでしょう。
通常海外のタロットカードやオラクルカードには、5か国語版などの冊子(説明書)が付属しています。
しかしながら、海賊版の作成業者はそこまでコピーをすることはなく、この説明書をスキャンしたものがのったサイトを別に作り、そこにQRコードを使ってアクセスしてくださいね、という形にしているようです。
もしくはQRコードをスキャンしPDFでダウンロードが可能、という場合もあるといいます。
しかしながらこういったサイトでダウンロードというのは、何とも危険きわまりないと言わざるを得ません。
なお日本語版の海賊版は現状ほとんどないようで、狙われるのは英語版など海外言語のものばかりのよう。
そのため日本語版の自費出版系でQRコードがついているものは問題がなかった、という例も。
また海賊版はバーコードの部分に「ISBN~」の記載がありません。
商用で出版するものにはこのISBN記号(出版された地域や出版社の特定に使われる固有番号)がついていて、流通する際の管理のためにつけられます。
本の裏表紙などにバーコードが2つあるのを見かけたことがあるかもしれませんが、上のバーコードがISBN、下のバーコードが出版社や定価を示すものなのだそうです。
ISBNは国際標準図書番号とも呼ばれていて、世界中の書籍についているものだとのこと。
つまり一般の流通ルートにのせるためには必ず必要になるものです。
これをつけるには費用もかかりますし、申請も必要となりますから、海賊版の作成業者には使えないのでしょう。
もちろん海外のいわゆるインディーズのカード作家さんが作成しているものに関してはISBNがついていないものもあります。
この点については注意が必要です。
箱の違いも一目瞭然!
一方箱についてですが、説明書が入っている正規のものは、説明書分箱が深くなっており、フタをかぶせるタイプのものが大半になっています。
海賊版は説明書が入っていない分当然箱は薄くなっており、カードサイズとほぼ同サイズの箱になっているため、ギチギチで取り出しづらく、取り出す時にカードが傷ついてしまったり、箱部分のベロにダメージが出たりするようです。
独特なフタの形状になっている「THE ROSE ORACLE」で比較すると違いが明らかです(V字カットなしが海賊版)。
カードサイズも正規版より小さく、女性の手におさまるトランプ程度の大きさのものが多い印象です。
紙質もすべりが悪くシャッフルしづらい、印刷の色が不鮮明(ピントが甘い感じ)だったり、発色そのものが悪かったりするなどのご意見がありました。
印刷地が問題なわけではない!
先ほども述べたような海外のインディーズのカード作家さんの場合、とりわけいわゆるウェイト版タロットをベースにしたものが多いようです。
これは著作権が既に切れているために、自由な発想で作成する方が多いというのがひとつのポイント。
最近の傾向として、ヨーロッパ在住の作家さんのカードでも、印刷はコストの関係で中国や香港で行っているというケースがあり、その後そのままFedexやDHLで直送するという形がとられているということですが、これはコストの他中国の印刷技術があがっていることも一因とのこと。
しかし技術があがっているといいながら、海賊版のものは不思議なほど非常に安っぽい仕上がりになっています。
海賊版についても意見が二分している!
さらに調べていくと、海賊版について実は業界で考え方が二分されており、絶対ダメという人と、別にあまり気にしていないという人がいます。
後者の場合、数をたくさん持ちたいというタイプと、いわゆるコレクターとしてながめて楽しみたいタイプにわかれるようです。
特にコレクターとしてカードを集めている場合、こういった海賊版の問題にはうとく、知らずに集めていたというケースが多数報告されています。
カード類は消耗品になるため、ある程度交互にカードを使わないと傷みが早いということで、あまり気にせず使っているという方も実際いらっしゃいました。
また安いから別にいいじゃない、というお考えの方も。
先ほどもお話したような、著作権が切れているようなものであれば、誰が作ろうと関係ないじゃないか、という考え方もできますが、だからといって他の作者のものをコピーしていい理由にはなりません。
一番の問題は作者にお金が入らないこと!
海賊版で一番の問題になるのは、もともとの作者や出版元にまったくお金が落ちないというところです。
お金が入るのは海賊版を作った人たち。
このシステムを知ってどうお感じになるでしょうか。
ちなみに海賊版のカードを購入してしまった場合でも、特許庁の海賊版対策、国民生活センターの海外ショッピングトラブルの各窓口に相談することができます。
気になる方はアクセスしてみてはいかがでしょう。