【お客さま素朴なギモン】ニートが長いので社会に出られるか不安です

鑑定中にふとお客さまから寄せられる「素朴なギモン」にフォーカスするシリーズ。
「急に言われても…」とあわてることなく、転ばぬ先の杖的に知っておいて欲しいお話をご紹介していきます。

Q. ご本人よりも親御さんからの相談が多いのですが、お子さんがいわゆるニートで、これからどうしたらよいのか、という話が出ることがあります。
デリケートな問題のため、どう対応すればよいか悩みます。

日本でも悩んでいる人が多い問題…

ニートというと、日本ではあまりいい印象を持たれないかもしれませんね。
しかしながらさまざまな理由でニートになってしまい、なかなか社会に出られないことで悩む人も増えてきているのです。

ちなみに日本では15歳から34歳までの未婚の人で、学校に行かず、就職もしておらず、職業訓練をしていない人、がニートであると言われています。
ニートとは「Not in Employment, Education or Training」の頭文字「NEET」からきているとされます。
1990年代あたりからきかれるようになってきた言葉です。

フリーターとどう違う?

似たようなものと考えられている「フリーター」とは明確に違いがあり、フリーターはアルバイトやパートといった雇用形態ながら「就業中の人」のことなのです。
要するに不安定であっても何らかの収入がある人、ということですね。

しかしニートとなると、まったく働いてもいないし、就業も希望していない人、ということになります。
それ以降の35歳から44歳までになるとニートではなく「中年無業者」と呼ばれるとのことです。

人と話したり、何か仕事をしたりという行動面で苦手意識を強くもってしまうと、自信をなくしてしまったり、モチベーションが低下したり、ついには職場に行くのがイヤになってしまうことがあります。
こういったことが原因で結果退職し、家族(特に親)に依存した状態になってしまうニート
特にGDPの低下が叫ばれ、重大な社会問題だと話題になったわけです。

引きこもりと何が違う?

ちなみによく「引きこもり」という言葉もきかれますが、厚生労働省によると、引きこもりは「仕事や学校にゆかず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」であるとのこと。
仮に買い物に出かけることがあっても、人との交流がないと引きこもりと判断されるのだそうです。

反対にいつもは自宅に引きこもっていることがあったとしても、積極的に社会参加をしていると引きこもりとは呼ばれないのだとか。
となると、家族以外とほとんど接触していないというニートは、同時に引きこもりでもあるということになります。
よく一緒くたに考えられてしまうのもうなずけますね。

当の本人が一番悩んでいる…

ニートになりたくてなっているわけではなく、心の中ではこの状態を脱したい、と考えている方もいます。
特に親をはじめ家族に負担をかけている、と心を痛めている人もいるのです。

しかし心の病気を併発してしまったり、人間関係がトラウマになってしまったり、さまざまな理由により外に出る勇気が持てないケースもあります。
だからといって本人を責め立てても仕方がありません。

同様にニートになっている家族がいる、ということを必要以上に隠したりするのも問題です。
自分の存在が消されていると感じ、さらに外に出られなくなってしまう可能性もあることでしょう。

何が一番問題?

不思議なのですが、引きこもりの8割近くが男性であることがわかっています。
男性の方が外に出て働いているイメージがありますから、意外な結果かもしれませんね。
しかし7割強の人がこれまでに社員として働いていた、という調査結果もあるのだそうで、どうやら社会に出て働くチカラはありながら、何かのきっかけにより今の状況に陥ってしまったと考えることができます。

特に3年以上ニート、引きこもり状態になってしまっていると、なかなか就職先が見つからなくなるでしょう。
履歴書での空白期間に何をしていたか、ということをきく企業は多く、ニートでした、引きこもりでした、とは言いづらいため、さらに就職への意欲が遠のいてしまうのではないかとのこと。

女性ならば花嫁修行をしていました、ということで言い訳できるかもしれませんが、男性の場合働いていない期間が長いと特にネガティブなイメージを持たれてしまいがちなのです。
こういったバックボーンが、さらに社会復帰を難しくしていると言わざるを得ないでしょう。

当然ですが、ニート生活が長くなるにつれ、家族も高齢化していきます。
最悪親が亡くなってしまうこともあるでしょう。
そうなると頼れる人がいなくなってしまうことになるのです。

脱却のアドバイスを求められたら…

ではどのようにして脱却するべきなのでしょうか。
病気をかかえている人の場合、まずは病気としっかり向き合い、健康になることを目指しましょう、とお話してください。

特に占い業界においては、病気を持っている人や、病気由来の相談(◯◯病をわずらってからこんなふうになってしまったなど)に関しては、受けない方向になってきています。
病気のことはまず医療方面に相談し、元気になることで悩みが解決することがあるから、ということですね。
ですから仮にうつ病などがもとでニート、引きこもりになってしまっている、というケースでは、医療機関への受診をおすすめしましょう。
もしどこを受診したらいいかよくわからない、という場合は総合診療科がおすすめ。
紹介状がなく、何科を受診するのかわからない方を担当するところだそうです。

健康でなければ社会復帰しても続かない!

そもそも健康な体でなければ、仮に就職ができたとしても勤務に耐えられませんし、何よりモチベーションにも影響が出ます。
まずは健康体になるところからです。

一方健康面に問題がないということであれば、職業訓練などを受けてスキルアップするとよいでしょう。
ブランクがあったとしても、これはもう仕方のないことなので、基礎からやりなおしていくしかありません。

最近流行りの在宅勤務への視野も!

また最近ではコロナ問題もあり、未経験でも在宅でできる仕事が出てくるようになりました。
こういうものをうまく利用することも視野に入れてみてください。
在宅ですから、主にオンラインで会社の人とやりとりすることになりますが、それでもコミュニケーションを取ることは可能です。
うまく対面で人と接することができないという方でも、オンラインなら、と考える方もいるかもしれません。

しかしあくまでもこういったことはたたき台であり、最終的にはどこかで人と関わることができるようにならなければなりません
会社によっては月に何回かは出社してください、というところもありますし、中には慣れたら出勤で対応を、と言われることもあるのです。

最終目標は自立し、きちんと社会復帰すること!

最終的にはきちんと社会復帰を目指すことを目標にしたいもの。
自分ひとりではなかなか難しいかもしれませんが、今のままではダメだというお気持ちがあるのであれば、とにかく一歩前に踏み出す勇気が必要であることをお話ししましょう。

同じ境遇から脱した人に相談し、話をきいてもらうのもいいですし、精神保健福祉センターNPO法人に問い合わせするなども有効です。
このままじゃいけない、という気持ちを大切に、前に進んでいけるよう、お手伝いしていきましょう。