【今さら聞けない】タロットの歴史~18世紀フランスのタロット事情~

タロットを扱う以上、その歴史は知っておいた方がよいかもしれません。
特に占いをさらに楽しみたい、奥深いものにしたいとお考えの場合、知っておいてソンはありません。
前回はタロットが誕生した頃のお話をいたしました。

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18世紀のフランスで転換期が!

時は18世紀のフランス、この頃から少し雰囲気が変わってきます。
タロットは古代エジプトと関連している、と言い出す人や、カードに逆位置の考え方をつけた人などが登場しました。

タロットについて」という本を出したクール=ド=ジェブラン氏が、タロットの寓意を解説する、として、著書の中で「古代エジプト人の興味深いテーマに関する教義を含むもの」とタロットについて書いているのです。
また人気占い師(一説には史上初の商業占い師とも)として大活躍していたエティヤ(エッティラ)という方が、タロット占いについて書いた本「タロットと呼ばれるカードのパックで楽しむ方法」(4部作)を出版。
カード占いの基礎を作ったと言われています。
ここには初めてタロットの逆位置についての解釈が書かれることとなります。
そして先のジェブラン氏による「古代エジプト起源説」に影響を受け、これまでのタロットを修正して史上初の占い専用のタロットである「エティヤ・タロット」を製作したそうです。
占星術の考え方も取り入れられていたといいますから、今のタロットにかなり近くなってきたように感じますね。

その後フランスでは占い用のタロットとして大ヒットし、マルセイユ版よりもメジャーになったとのこと。
ただしカードの順番などは、マルセイユ版とはまったく異なり、特殊なものであったことがうかがえます。
エティヤ版も78枚ではありますが、そういった背景もありこれでそのまま現在占うことは難しいといわれているのです。

カバラとタロットの関連づけもここから!

一方でマルセイユ版のカードは大量生産されており、ヨーロッパからアメリカへと伝えられました。
ここからさらに新たな分岐点が始まるのです。

その後、先ほど登場したクール=ド=ジェブラン氏の本に影響を受けた思想家のエリファス・レヴィ氏が、タロットには古代の知恵が秘められているのだ、と唱え始めます。
魔術や神秘主義について何冊も本を書いている方だそう。
著書「高等魔術の教理と祭儀」でも知られていますね。

ちなみレヴィ氏がユダヤ教の教えにある「カバラ」を取り入れて、特にカバラにおいて重要とされる「生命の樹」とタロットを関連付けたといわれているのです。
カバラと密接につながっているので、タロットの大アルカナ22枚とヘブライ語のアルファベット22文字にひとつひとつ対応させたということです。

キリスト教もカトリックからプロテスタントに移行していく時で、教会の厳しさがゆるくなってきたこともあり、これまで禁止とされていた占いなどを自由に考えていこうとする人たちが出始めていました。
そういった背景もあり神秘的なものに対する研究も進んでいったようです。
タロットの講座でカバラとタロットの関連性についてきいたことがある方もおられるかもしれませんが、ここがスタートだったのですね。

おなじみの「アルカナ」という言葉は…

そしてこのレヴィ氏に影響を受けたポール・クリスチャン氏が「テュイルリーの赤い人」という書籍を出します。
ここで初めてラテン語で「秘儀」を意味する「アルカナ」という言葉が使われたのだそう。
19世紀後期にはレヴィ氏、クリスチャン氏の両名に影響されたパピュス氏が、タロットとカバラの解説書である「ボヘミアンのタロット」を出版。
ここでも引き続き「アルカナ」という言葉が使われており、大アルカナ、小アルカナという表現が登場したのです。

ちょうどこの頃はいわゆる「秘密結社」と呼ばれるものが続々登場していました。
オカルト思想や秘教主義なども流行しており、オカルトブームが生まれていきます。
タロットもその流れにのっていったのでしょう。