【タロットカードレビュー】エドマンド・デュラック・タロット

現役占い師が実際に使用しているタロットカードにスポットを当て、どんなカードか紹介していくシリーズです。
今回はエドマンド・デュラック・タロットを取り上げます。

ややダークで大人っぽいカード!

ややアンティーク風のくすんだ絵柄が大人っぽいタロットです。
そのため全体的にダークな色合いになっていて、タロットの持つ怖さが増幅してしまうと感じる方がいるかもしれません。
はっきりした色味でなくてもいい方、雰囲気がある方が好きだという方にはおすすめです。

メーカーはおなじみイタリアはLo Scarabeo社
老舗メーカーの商品で安心感があります。
絵柄は20世紀初頭よりイギリスを中心に活動した、フランス出身の挿絵画家であるエドマンド・デュラック氏のもの。
「挿絵の黄金時代」に活躍したといわれている方で、単なる挿絵だけではなく、紙幣や切手にまでかかわっていたとされるまさに「巨匠」と呼ぶにふさわしい存在。
絵画がお好きな方でしたら手に取りたいと感じるカードでありましょう。

ちなみに東京・浅草橋のタロット美術館には額装され、ディスプレイされていたそうですから、人気のほどがわかります。

気になるサイズ感は?

カードの大きさは約7センチ×約12センチのスタンダードサイズ
厳密にはスタンダードサイズよりも若干ですが小さめになっています。
このスタンダードサイズがいわゆる標準仕様のため、だいたいこの大きさのタロットが多いようですが、手の小さい女性の方は少し扱いづらいと感じるようです。

ただ人によっては、横幅が数ミリでも小さくなるだけでぐっと使いやすくなる、と感じるようですので、できましたら店頭などで手に取られるとよいでしょう。
裏面は正逆の区別がつかない仕様

どんなカード?

カードは大アルカナ22枚+小アルカナ56枚の計78枚フルデッキ。
大きな特徴として、いずれのカードにもカード名の記載がありません

大アルカナは上下に通し番号が記載されています。
小アルカナのヌーメラルカード(数札)は上部に数字、下部にスート(ワンド・カップ・ソード・ペンタクル)を表すマークが、コートカード(宮廷カード)では、上部に役職を表すマーク、下部にスートを表すマークが入る形です。
そのため慣れていない場合、パッと見て何のカードかわからない、ということが起こり得ます。

幸いなことに「タロット・オブ・ペイガン・キャッツ」の時のように、クイーンとキングの王冠マークの区別がつきにくいということは今カードではありません。
キングの方はふっくらと丸みをおびた王冠の形状が採用されていて、クイーンの方はペイガン・キャッツに登場したような上部がとがった形状になっているのです(もちろん今回は人物になっていますので、絵を見れば違いは明らかですが)。
形状を比較してみたい、という方は過去記事を参照してみてください。

関連記事

現役占い師が実際に使用しているタロットカードにスポットを当て、どんなカードか紹介していくシリーズです。今回はタロット・オブ・ペイガン・キャッツを取り上げます。 劇画調? のネコがたくさん! 「ホワイトキャッツ・タロット」につぐ[…]

またマルセイユ版と違い、大アルカナ8番が「Strength (力)」、11番が「Justice (正義)」という並びになっています。
ウエイト版ベースになっているといわれてはいますが、かなり独自の解釈が入った個性的なカード。

魔術師は暗闇の中で何やら怪しげな魔術実験? をしているようですし、力のカードは犬の散歩にしか見えません。
眠れる森の美女の、糸車にふれる直前を描いたかのような? 運命の輪のカードも大変印象的です。
隠者のカードも物思いにふけっているような雰囲気。
開け放った窓の外はとても平和そう(= 争いが起きている感じではない)なのに、何をそんなに深刻に考え込んでしまうのだろうか、と思ってしまいます。
正義のカードにいたっては剣も天秤も持っていないため「???」と多くの人が驚いたようです。

なお60ページ超の解説書は英語をはじめとする5ヶ国語の多言語バージョンとなり、日本語は含まれておりません。

どちらかというと観賞用!?

やはり絵の美しさにひかれて購入される方が多いようで、コレクションアイテムにしているというご意見もずいぶんありました。
確かに解説書において、逆位置のキーワードについては書かれていないため、逆位置を採用している方からすると使いづらいのかもしれません。
また日本語版がないから解釈がしにくい、というお声も他のカードに比べると少なく、実占用にされていない方の方が多い可能性も。

使い方については好みがわかれる部分でもあり、一概にどうこうとは言えませんが、絵柄がお好きな方は手にとってみてはいかがでしょう。