現役占い師が実際に使用しているタロットカードにスポットを当て、どんなカードか紹介していくシリーズです。
今回はRussian Tarot of St. Petersburgを取り上げます。
民謡やおとぎ話がベースのタロット!
パッと見た雰囲気が「メディーバル・キャット・タロット」っぽいな、と感じるのですが、実際は黒とゴールドでグッとシックな高級感のある仕上がり。
ロシアの民謡やおとぎ話をベースにしたタロットだそうです。
メーカーはアメリカのUS GAMES SYSTEMS社。
老舗メーカーの商品で安心感があります。
描いたのは有名な芸術家として知られるYury Shakov氏。
元はアゼルバイジャンのご出身だそうですが、ロシアのモスクワなどでアートを学び、アートワークの多くが美術館に保存されているほどの方とのことです。
またこのカードのイラストですが、同氏が1989年に亡くなる前の最後の仕事であったといいます。
しかしながら未完成のまま亡くなったそうで、別の芸術家が引き継いで完成させたと言われているのです。
気になるサイズ感は?
カードの大きさは約7センチ×約12センチのスタンダードサイズ。
標準仕様のため、だいたいこの大きさのタロットが多いようですが、手の小さい女性の方は少し扱いづらいと感じるようです。
裏面は正逆の区別がつく仕様。
逆位置を採用されている方はご注意ください。
どんなカード?
カードは大アルカナ22枚+小アルカナ56枚の計78枚フルデッキ。
カードはファベルジェの卵(ファベルジェとは金細工師の名前)をイメージした楕円形の中にイラストが入る仕様。
そのため少し絵が小さく感じられるのが残念だというお声がありました。
もちろん絵画調な雰囲気になるため好意的な意見もあるのですが、このあたりは好みがわかれるところなのかもしれません。
大アルカナは通し番号が上部に、下部にカード名(英)が記載されています。
重厚な趣のある法王(教皇)のカードは聖侯爵のウラジミールがモチーフになっているので、王笏とロシア正教会の十字架も描かれています。
頭がものすごく目立つ死神のカードは、歌劇としても知られる「ルスランとリュドミラ」に登場する頭であるとのこと。
邪悪な魔法使いにさらわれた王女リュドミラを、勇敢な騎士ルスランが助けに向かうというお話ですが、その邪悪な魔法使いの兄弟である巨大な頭とルスランが遭遇する場面があるそう。
しかしカードではルスランとおぼしき人物が倒れているように見えるのですが…。
塔のカードが「The Falling Tower」という名前になっていますが、これはロシア帝国の崩壊を表しているのだそうです。
小アルカナではスート(ワンド・カップ・ソード・ペンタクル)の名前も一部変わっていて、ワンド = Club、ペンタクル = Coinになっています。
ヌーメラルカード(数札)もコートカード(宮廷カード)も、上部にスートを表すマーク、下部にカード名(英)が書かれているスタイルです。
役職名はペイジ・ナイト・クイーン・キングというおなじみの表現。
またマルセイユ版と違い、大アルカナ8番が「Strength (力)」、11番が「Justice (正義)」という並びになっています。
ウエイト版ベースのようですが、だいぶ独自モードによっている感じもいたします。
なお英文解説書が付属しているようですが、日本語の解説書は含まれておりません。
翻訳アプリの類をうまく使いながら読み解いていく、あるいは絵からそのまま読み取るといった技が必要となるでしょう。
これから占いの求人に応募する時の実技試験に使うものというよりは、ある程度慣れて普通のタロットでは物足りない、という方におすすめです。
種類があるので購入時注意!
ウエイト版のタロットを踏襲してはいますが、独自のモチーフなどが含まれるため、どちらかというとやはり中級者以上向けかなという印象を受けます。
それでもウエイト版をしっかり学んだ方は使いやすいと感じることが多いようです。
ちなみにタロットのみで販売されているものと、解説書とタロットのセット販売になっているものがあるようですので、購入時にはご注意ください。