現役占い師が実際に使用しているタロットカードにスポットを当て、どんなカードか紹介していくシリーズです。
今回はサン・アンド・ムーン・タロットを取り上げます。
タロットの登場人物にアレがない…
外箱に描かれた幻想的な絵柄を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そして大変特徴的な点として、人物には顔(表情)がないのです。
あのハローキティにも口がありませんが、それと同じようにみんながこの人たちはどんな表情をしているのだろう? どんなことを考えているのだろう? とイマジネーションを働かせてほしい、と考えて作られたものなのでしょうか。
作者はベルギー出身のヴァネッサ氏。
もともと錬金術などに興味を持たれていたそうで、その知識をもとに作られたタロットとのこと。
それだけではなく、人気の北欧神話やインドの哲学、ヘブライ文字なども盛り込まれていて、とても深い内容に仕上がっています。
パッと見は絵本のような雰囲気なのに、よく見ると魔法文字や魔術のエッセンスが見てとれるという不思議なカード。
ちなみにメーカーはアメリカのUS GAMES SYSTEMS社、老舗メーカーの商品で安心感があります。
特筆すべきは赤と白のボーダーTシャツにグリーンのチノパン? の皇帝のカード!
玉座の脇には盾もあるので、構図としてはおなじみなのですが、何ともカジュアルな雰囲気で驚かされます。
戦車のカードは牛? ブタ? が引いているようで、あまりスピード感を感じません。
力のカードでは満月にオオカミという神秘的な絵柄が。
少女がオオカミに乗っていて、遠吠え以外は何も聞こえなさそうな静寂を感じるカードです。
死神のカードには不死鳥に抱かれた女性の姿。
どんな風によみがえるのだろう、とちょっとワクワクしてしまいます。
気になるサイズ感は?
カードの大きさは約7センチ×約12センチのスタンダードサイズ。
標準仕様のため、だいたいこの大きさのタロットが多いようですが、手の小さい女性の方は少し扱いづらいと感じるようです。
カード裏面は正逆の区別がつかない仕様。
どんなカード?
カードは大アルカナ22枚+小アルカナ56枚の計78枚フルデッキ。
大アルカナには通し番号・カード名称(英)も記載されています。
またマルセイユ版と同じ大アルカナ8番が「Justice (正義)」、11番が「Strength (力)」という並びになっています。
ちなみに大アルカナの「死神」「節制」「審判」のカードにはそれぞれ「rebirth (再生)」「art (アート)」「aeon (永遠・永劫)」というタイトルが併記されています。
「世界」は「the universe (宇宙)」。
あの「トート・タロット」に影響を受けたためとも言われていますね。
小アルカナはヌーメラルカード(数札)に関してはウエイト版を踏襲しているものの、コートカード(宮廷カード)はプリンセス・プリンス・クイーン・キングの名称が採用されています。
ナイト(プリンス)ではなくキングが騎馬になっているのがおもしろいですね。
プリンスはかわりに「他の動物」に乗っているようです。
2~10までのヌーメラルカードの上部には「pleasure」「sorrow」などカードの意味がひとことで記載されていますので、英語に多少明るい方には助けになりそう。
小アルカナのスートはワンド・カップ・ソード・ペンタクルになっているのですが、背景色がそれぞれ違っていて、ワンドは夜中、カップは月夜、ソードは昼間、ペンタクルは夕刻をイメージしているようです。
カードそのものはUS GAMES社らしくよい紙質で、やや固めの質感ではあるのですが、軽くコーティングされていて、比較的シャッフルがしやすい仕様です。
これから占い師になりたい人が使うには難しい…
このようにトート・タロットに影響を受けつつ、ウエイト版も取り入れる、という独自の絵柄ですので、解釈が難しいと考える方もいそうです。
特にこれから占い師になりたい、と考える人がファーストタロットとして選ぶことは推奨しません。
占い師を仕事にしていこう、と考えているのであれば、ウエイト版かマルセイユ版を選んでスタートしてみましょう。
大切なのは相性なので「あ、これ!!」と感じるようなら合っていますし「ながめるだけでいいかも」と思うなら手に入れなくてもよいでしょう。
どうやらこちらは缶入りの小さいサイズ(約6センチ×約10センチ)もあるようです。
外で鑑定される方や、持ち歩きたい方はこちらの方がいいかもしれませんね。