行くなら開運につなげよう! 正しい神社の参拝方法

バラエティ番組などで、正しい参拝をしているかチェックされたりするほど、神社の参拝方法があいまいになっていたり、正しい手順が一部抜け落ちたりしている人がいるものです。
年始などに参拝に行かれる方が多いかと思いますが、せっかく行くならきちんと正しく、気持ちよくお参りしたいものですね。

なぜ神社に参拝?

初詣からお宮参り、七五三など、人生のうち必ず参拝をするタイミングが出てきます
そのように人々の生活におなじみの神社は、神さまが鎮座されているところである、ということはみなさんご承知のとおりでしょう。

大昔はあらゆるものに神が宿るとされ、八百万(やおよろず)の神々と称されてきました。
山や岩、木そのものが「神さまが宿る特別な場所」、御神体として信仰対象とされていたのです。
山の神、海の神、などという言い方もいまだありますね。

その場所は神さまが宿る「聖域」であり、みだりに立ち入らせないようにしたり、決まった人だけが入れるエリアとなっていたのです(今でもこういう人は入れません、と立て札などがある山が存在するそうです)。
そういった特別な場所であるということを明確にするために、しめ縄をはったりして区別していたのがはじまり。
その後神さまだけでなく、ご先祖さまやその土地に貢献度の高い人も、神として祀られるようになっていったのです。

そしてしだいに野ざらしではお気の毒だ、雨風をしのげるように、と建物が作られるようになり、現在のような形になっていったのだとか。

鳥居の重要な役割!

また鳥居は聖域への入り口であり、そこから神さまへとつながっているということです。
したがって鳥居をくぐったら神聖な気持ちですすんでいきましょう。
わいわい騒ぎながらすすんでいくなどもってのほかです。

さて「聖域」に足を踏み入れたのですから、きちんとしたお作法を身につけておきたいものです。
上司の家に挨拶に行く、となったら失礼のないようマナー本を読んだりする方がおられるように、必要最小限のお作法は学んでおきましょう。

きちんとした服装と態度で参拝!

服装は目上の人に対して失礼にあたらないような、スーツなどにしておけば無難です。
くだけたかっこうはさけましょう。
また参道脇が玉砂利になっていることもありますので、サンダルばきなども避けておきます。
ただし玉砂利部分を歩くことでお祓いの意味にもなるそうですから、余裕のある方は歩いてみてもよいでしょう。

先ほど鳥居は聖域への入り口であるとお話しましたが、要は我々の日常社会との境界線でもある、ということです。
だらしなく通り過ぎるのではなく、会釈して静かに鳥居をくぐりましょう

鳥居の先に続く参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神さまの通り道であるとされています。
したがって参道を歩く際は、左右どちらかに寄って静かに歩いていくのがよいとされます。
どうしても参道を横切らなくてはいけないような場合には、横切りながら会釈をする、もしくは中央で立ち止まって神さまの方へ一礼する、という形をとるとよいでしょう。

清めてから参拝!

正式には禊(みそぎ)をすませてから参拝するのだそうですが、そのかわりに手水舎(てみずや)にて手や口を清め、禊のかわりとしています。
簡略化されていても禊と同じものと心得て、おろそかにしないように。
ハンカチなどはあらかじめ出しておきます。

一礼してからまず右手で柄杓を持ち、いっぱいに水を入れます。
次にそのまま左手に水をそそぎ清めますが、この最初のひとすくいですべて清めますので、そそぎ過ぎないよう注意が必要です。
水がはねたりしないように、少し姿勢を低くして行いましょう。
終わったら左手に柄杓を持ちかえ、右手を同様に清めます。
もう一度右手に持ちかえたら、左手を少しくぼませるようにして水を注ぎ、この左手にためた水で口を清めます。
この時口元を隠してから、口に含んだ水を吐き出すようにします。
さらに口をつけた左手をふたたび清めます。
最後に柄杓の柄が下になるようにタテにし、残った水で柄を洗い流すようにしてから元の場所に戻します。
ハンカチで拭き終えたら、一礼して終了となります。

何回も柄杓で水をくんだり、柄杓に直接口をつけたり、口を清める時に口に含んだ水を飲んだり、うがいしたりしないよう気をつけましょう。
また左から先に行うのは、神道において左が神聖なものとされていることによるものとのことです。

いよいよ神さまの前へ!

さていよいよお参りですが、まずは会釈して鈴を鳴らしましょう。
これは自分が来たことを知らせると同時に、鈴の音で身を清める役割もあるのだそうです。
クリスタルチューナー(音叉)でパワーストーンを浄化するのに何となく似ていますね。
ごあいさつする前に徹底的に清めてまいりましたよ、というニュアンスです。

次にお賽銭を入れますが、この額については諸説あるようで「ご縁があるように」と五円玉を入れる方や、「始終ご縁があるように」と四十五円を入れる方、「ご縁を10倍に!」と五十円を入れる方、ポチ袋に入れたもの(金額不明)を入れる方など実にさまざまです。
一説には「少し痛いな」という金額を入れるのがよいということですが、本来は神さまへの感謝をあらわすためにお納めするものであり、お願いごとに対する金額ではありません
ですのでいくら入れなくてはならない、という厳密な決まりはないのですが、感謝の気持ちとしてお納めする、ということを意識してみましょう。
もちろん高額ならいいということでもありません。

そして「二礼二拍手一礼」の作法でお参りします(出雲大社などでは二礼四拍手一礼とイレギュラーなことも)。
「二礼」は横から見ると足と上半身が直角になるようにして二度頭を下げます。
背筋を伸ばしたまま腰だけを折るイメージです。
それから胸の前で手を合わせる時に少し右手を下方向にずらし、ゆっくり2回拍手します。
神さまに届くよう、大きくゆっくりはっきり行います。
肩幅くらいに手を開いてするのがよいでしょう。

ちなみにこの手をずらす意味について、ある神社の神主さまが教えてくださいましたが、手をきちんと合わせると、手の節と節が合わさるけれども、それが「節合わせ(=不幸せ)」につながるのでずらしているのです、とのこと。

その後手をきちんと合わせ、心を込めてお祈りを。
この時に自分の住所氏名を伝えるとよいとされているのですが、これは拝殿での参拝で祝詞奏上(のりとそうじょう)を行う時に、神主さまが住所氏名を読み上げているところからきているのでしょう。
ビジネスでの初対面の時にも「△△株式会社の××と申します」というようにあいさつをするぐらいですから、特に初めて参拝する神社では頭に入れておくとよさそうです。

終わったら両手をおろして、ふたたび深く頭を下げます。
さらに会釈をして終了です。

参拝を終えた後も、同様に参道の端を歩き、鳥居で向き直り一礼して退出します。
この時無事参拝できたことに対する感謝の気持ちを持つとベターです。

ここまでしなくてもよいのでは…

わざわざここまでする必要があるのだろうか、と考える方もおられるでしょう。
神さまからの御加護を賜りたいのであれば、やはりきちんとした作法にてお参りするのがベストです。

よく考えてみてください。
ご自分が面接官であったとして、きちんとおじぎやあいさつをして自分の意見を述べる人と、いいかげんなすわり方をして、言葉づかいもだらしなく、まともなあいさつもせず面接の場に出入りする人、どちらを採用しようと考えるでしょうか?
ご自身が神さまの立場になってみたらどうか、という面で考えてみてもよいかもしれませんね。

また昔からよく「神頼み」という言葉をききますが、本来神さまにはお願いをするのではなく、日頃の感謝をお伝えしたり、今までお守りいただいたことに対するお礼、これからこういうことをしますので見守っていてください、といった決意表明をすることが望ましいとされます。

神さまには決意表明をし、行動は自分自身で!

お願いをするということは、自分ではない他に何かをしてもらう、という雰囲気になってしまいます。
誰かに期待するのではなく、感謝の心を持ちながら自分の力で進んでいこうとする方が応援したくなりませんか?

明るく正しくきちんとした作法を身につけて、自力で進んでいこうという心意気に、きっと神さまも後押ししたくなることでしょう。